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【9】TODを褒めよう――その前に『ゼビウス』を褒めよう!

 長々と更新をサボってしまい、申し訳ない。更新する気はあったものの、時間に押されてなかなか書く機会がなかったのだ。
 不定期ながら、こちらの方もキチンと更新していこうと思う。

 さて、ゲーム発売から20年以上経過して、テレビアニメーションやオンラインゲームになるなど、再評価が高まってきた『ドルアーガの塔』
 では、なぜ今になって、このような再評価がされてきたのだろうか? 近年、こうした新しいメディアから『ドルアーガの塔』という名を知ったため、そもそもの元となったゲームのことを知らない人たちも数多く存在する。
 そこで、一度原点に立ち返り、『ドルアーガの塔』とは一体どのようなゲームだったのか、あるいはどのようなムーブメントだったのか。満身の愛をもって、このゲームの説明をしてみたいと思う。

 とはいえ、じつはこのゲームについて説明する前に、触れておかねばならないゲームが存在する。
 それが『ゼビウス』だ。
 『ゼビウス』は1983年に発表された、縦スクロールシューティングゲーム。前年までに発表されたナムコゲームは、日本はもとよりアメリカでも大ヒットした『パックマン』を筆頭に、『ギャラクシアン』『ラリーX』『ギャラガ』『ボスコニアン』『ディグダグ』『ポールポジション』といった、いずれも高い評価を得た作品ばかり。
 その独創的なゲームの数々から、プレイヤーの間にも“ナムコ”という名前の認知が広がり、いよいよ輝ける黄金期が幕を開け始めた時期だった。

 そんな中に登場した新作『ゼビウス』は、さまざまな部分で従来のゲームと、あまつさえそれまでのナムコ作品からすら、一線を画する大変画期的なものだった。
 まず、中間色を多用した美しいグラフィック。それまでのナムコゲームに見られたキャラクターのカラフルさは一切なく、灰色のグラデーションを用いたグラフィックで、無機的かつ立体的なキャラクターを作り出すことに成功。また、「空中物と地上物の撃ち分け」というアイディアは、常に目新しさが求められるシューティングゲームにおける一つの革新的要素であった。
 さらに、巨大ボスの先駆けとも言える「アンドアジェネシス」は、その過剰とも言える攻撃と威圧的な効果音も相まって、プレイヤーに恐怖感を植え付け、征服欲をかき立てた。
 そして、非常に重要なのが「隠しキャラクター」「ソル」「スペシャルフラッグ」のふたつの隠しキャラは、「プレイヤーが特定の操作をすることで、公にはなっていない仕様上の現象が起きる」という概念を初めて生み出した。その有用性(ソルは出現で2000点・破壊で2000点と得点が高く、スペシャルフラッグは自機が1機増える)もあって、プレイヤーは競うように隠れた場所を捜索。その「隠しキャラの出現場所を知っている」という知的優越感は、やり込んだプレイヤーに新たな悦楽をもたらした。また、そこからプレイヤー間の情報共有、同人誌『ゼビウス1000万点への解法』の発行といった、新たなるコミュニティの礎にもなったことは、副産物的効果と言えるだろう。

 しかし何より、『ゼビウス』最大の特徴と言うべきものが、“謎”だ。
 『ゼビウス』のキャッチコピーは、「プレイするたびに謎が深まる」というものだが、この“謎”は前述した隠しキャラクターのことに限らない。
 中空を回転しながら飛来し、いかなる攻撃も不思議な音を立てて防いでしまう「バキュラ」。
 前述したアンドアジェネシスを倒すと、中心部から上空に消え去る謎の物体「ブラグザ」。
 マップに突如現れる、巨大な「ナスカの地上絵」。
 何かを告げに現れる「シオナイト」etc.…
 これらはゲームが稼働した当初、本当に“謎”であり、どういう意味や意図があるのかがさっぱりわからなかった。わからなかったからこそ、プレイヤーの想像力を大いにかき立てた。それがゆえに、本来仕様である現象や画面表示、単なるバグでさえもが、この“謎”の一部として様々な憶測を呼び、また数多の都市伝説を生み出すこととなった。
 やがて、ゲーム雑誌でその奥深い世界設定の数々が明るみに出ると、プレイヤー達は『ゼビウス』が、今まで出たゲームとは何もかもが次元が違うことを、改めて思い知らされたのだ。
 単なる“謎”ではない、意味のある、名前もある“謎”。単なる遊びの道具でしかなかった「テレビゲーム」というメディアが、それ以上のものに、いや他のメディアを遙かにしのぐ、全く新しい次元のエンターテインメントになるのではないか…『ゼビウス』は、そんな未知なる可能性をプレイヤー達に知らしめ、プレイヤー達はその予感に胸を躍らせた。

 ゲームは所詮ゲームでしかない、などという枷は、一体誰が嵌めたのだろうか。
 この『ゼビウス』というゲームは、きわめて高密度・高水準にあるシューティングゲームという表の顔と、数々の謎や知られざる世界設定を秘めた物語の一端という裏の顔を、同時に持ち合わせている。ゲームの完成度の高さが“謎”を活かし、そして“謎”がゲームに底知れぬ奥深さを与えるという、相互に魅力を増幅し合う関係となっているのだ。
 ブロック崩しに始まったテレビゲームは、『スペースインベーダー』でプレイヤーに能動的な自由が与えられ、『パックマン』で頭脳を持ったかのような敵が登場して、より遊びとしての醍醐味が増していった。
 そしてこの『ゼビウス』の登場が、テレビゲームに新たな方向性を指し示したとしても、決して過言ではない。

 やがて、このゲームを通してとある人物が、一躍名を知られることとなった。
 その者の名は、遠藤雅伸
 世界で初めて、“ゲームデザイナー”と呼ばれた男である。

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コメント

再開ご苦労様です、再確認の意味も含めて読み込ませて頂きます。

改めてこう、テキストで見てみるとホント、ゼビウスってエポックメイキングな作品だったんだなと。

いまは凄いが当然になってるから気が付きませんが・・・。

投稿: Karin | 2008年10月 4日 (土) 12時03分

コメントありがとうございます。コメントが付いているのを見たとき、熱烈なゼビウスファンの方が薄っぺらい管理人の知識に激怒した書き込みだったらどうしよう、とか真剣にビクビクしてました(笑)。

個人的には“ブラグザ”がすごいと思ってます。
あれ、本当にゲーム上は何の意味もないものですから。ほかはまだ意味とか役割みたいなものがありますけど、あれだけは純然たる演出のための(しかも1秒も表示されない)キャラと言えますし。
さらにタイトル画面があんなのになったファミコン版でさえ、ブラグザが出てるのも興味深いところです。

投稿: GIL | 2008年10月 5日 (日) 03時28分

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